選挙活動と政治活動

前回のブログ記事でポスターについて公示日前後でかなり趣が変わることを知って頂けたと思う。実はポスターだけに限らず、いわゆる政治家や政党が行う活動は公示日前日までを政治活動、公示日から投開票日までを選挙活動として区別し、演説会、宣伝カー、配布するビラ等に至るまでガラッと変わってしまうことをご存知だろうか?今回の記事では政治活動と選挙活動の主な違いを、先日まで私が渦中(では端の方)にいた参議院選挙に当てはめて見ていこう。

 

①宣伝カー

選挙期間中うるさいあの車。実は政治活動中の台数は無制限に許されている一方、選挙期間中は候補者カーの1台に制限され、許可を取った政党や政治団体(以下確認団体)では候補者名を載せられない車が1台追加出来る。だからあなたが「選挙のせいでうるさいなあ」と思っているのは実は選挙期間直前である可能性が高い。また政治活動で車を走らせる分には自らの政治資金で行うことになるが、選挙活動ではガソリン代、運転手、アナウンスを行うウグイスさん(男性の場合はカラスとも)について公費(税金)からの補助がある。ポスターと同じくここにも選挙活動に関しては規制と助成があることが分かって頂けただろう。
因みに選挙期間中は各都道府県の公安委員会の定める「道路交通規則」により、上記2台の宣伝カーについては駐停車禁止・車両通行禁止の免除が適用される。要するに普段は駐停車禁止の場所でも選挙期間の宣伝カーは無視できる場合があるということだ。

 

②選挙ビラ

この流れから予測済みだと思われるが、ここでもキーワードは規制と助成だ。選挙前は寄付行為と事前運動に抵触しなければ何種類でも、何枚でも、そしてどこでも(資金の続く限り)ビラを配ることが出来る。しかし選挙活動では種類は2種類以内、枚数は選挙区の大きさに比例し、選挙管理委員会の交付する証紙によって管理される。そして配れる場所も演説している周辺や新聞折り込み等制限される。また確認団体は3種類以内でかつ枚数自由のビラを作れるものの、こちらには候補者名を載せることが出来ない。そして選挙活動で使うビラについては公費負担が適用される。

 

③演説会

ここでもキーワードは(以下略)。演説会には街頭演説(屋外)と個人演説会(屋内)がある。街頭演説では候補者1人に1本配られる標記と呼ばれる小さい旗のようなものを掲示しなければ行えず、また標記さえ掲示していれば候補者がその場にいなくても可能だ。もちろん日々の政治活動において標記がどうという制限は一切ない。個人演説会は候補者の主催であれば回数制限なし、弁士の制限なし、公営施設の無料使用可、演説会に使用する立札看板類は公費負担と破格だ。言うまでもないことだが政治活動では助成は一切ないし、公営施設も通常料金だ。

こうした選挙期間における規制と助成の論理は、ここで挙げた3項目や前回記事で取り扱ったポスター以外にもあらゆる選挙活動において適用されている。事務所や新聞広告、果ては拡声器の台数に至るまでだ。非常に煽情的な書き方をすると、参議院選挙の選挙区候補者が公費助成(税金)を最大限活用した場合、その額は700万円近くにもなる(東京都の場合)。こうした大規模な規制と助成が行われる理由はたった一つだ。規制によって無制限に高騰していく選挙費用を抑え、その中でも候補者が最低限自分の主張をアピール出来るラインまでは助成を行うことで政治への参入障壁を低くしているのだ。被選挙権が万人に認められている権利といえども実効性がなければ意味はない。もちろん公職選挙法自体には不備もあるし、結局のところ大政党有利も変わらないが、少なくとも立候補しやすくするという意志は感じられるのだ。

しかしそうした理念を根幹から打ち砕くような制度が、さも便利で有用な制度として持て囃されている。次の記事、三回連載の最終回では皆さんも一度は使ったことがあるかもしれない、あの制度の罪についてだ。次回「私は期日前投票が嫌いだ!(仮)」お楽しみに!
 
P.S. 毎週水曜日曜更新と書いていたのに初端から原稿落としてすみませんでした…。これ以降は木曜日曜更新にしたいと思います。絶対守ります。あと毎日ブログ記事を更新してるおときた駿議員は凄い。